島根大学 島根大学教育センター

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学⽣実験における
オンデマンド授業対応への取り組みについて

For Physics student

「物理学実験I 」(学⽣実験) におけるオンデマンド授業対応とは

  • 実験の授業は対面が良いが、オンデマンド授業を取り入れ、学生に負担がないようにおこなった。
  • コロナ対策として、ガイダンス/実験をオンデマンド化
  • ビデオ上のメーターや値を実際に学生に読んでもらうなど、オンデマンドだが、実際に体感してもらう工夫を取り入れた
  • 実際の実験レポート内容を動画で添削し、動画を送る。
    これにより、実際よりも詳しく何が良かったのか、悪かったのか学生の学びと繋がった。

実際のオンデマンド授業の一例臨場感のある講義資料の準備

実験実施過程を体感できるような実験室における実際の実験のライブ収録

「物理学実験I 」は、本学科の学生にとっては初めての学生実験の授業です。
はじめのテーマは、固体の密度測定です。
ノギスやマイクロメータ、電子天秤を使って、与えられた金属の密度を求めます。
いずれも基礎的な測定工具ですが、初めて使う学生も多くいます。
事前に配布した資料による解説に加え、実際に使用している様子を使用者目線で収録した動画の配信を行いました。

冗長になりがちな測定中の動画には、効果音やBGMを加えるなど、飽きさせない工夫も取り入れました。

ビデオ上のメーターの目盛りを実際に読んでみる.(オームの法則)

手を動かすことができないオンデマンドの実験では、「装置の扱い方」、「データの読み取り方」など、その場で体験しながら培かわれる素養がおろそかになる恐れがあります。そのため、本授業では実際に実験をする際の目線で装置の扱いを疑似体験してもらうのに加え、データは自身で読み取ってもらうよう工夫をしました。こうすることで、オンデマンドでありながら本学の物的資源にも触れ、高度な授業を体感してもらうように努めました。

画像上での位置の解析などPCを駆使した解析を取り入れる.(光の干渉)

従来の実験では光の干渉縞の間隔をノギスを用いた手作業で測定して貰っていました。設備の関係もありデジタル処理によって解析を行うという発想は持っていませんでした。本年度の授業では学生がPCなどから授業に参加することを逆手に取って、これまで経験して来なかったC上での画像解析に挑戦しました。画像ソフトを用いてpixelで測った長さをmmに変換する簡易な手法ですが、直接測定と比べて精度の向上も可能であり、オンデマンド以降の授業にも活かせる取り組みが出来ました。

電気回路実験でWeb上のシミュレーションによる演習を取り入れる.(電子回路)

シミュレータを用いた実験課題自体は、学びの効果の大きい学生実験の一つのテーマとして成り立つものです。しかし、実際の装置が無いことに変わりはないため、デバイスや回路の知識を頭の中でフル稼働させないと理解が難しいものでもあります。それらの知識がもともと薄い当学科の学生たちには、そのままでは非常に高度な内容となってしまいます。一方、電気回路の実験も他のテーマ同様、実際に自分で回路を組んでみないとなかなか実感が持てないものです。資料や動画を見ているだけでは、ちょっとイイ教科書を読んでいるのと変わりません。そこで今回は、実際のダイオード回路の実験をシミュレータを使って検証するという方法を取り入れることで、少しでも学生が「自分でやった」という経験を持てるように工夫をしました。そのために、シミュレータの経験ゼロでも短時間で動かせるよう丁寧に説明動画を作製しました。学生が家に居ながら普段とは違う刺激を感じ、かつ有意義な学びの時間となったなら幸いです。

レポートの提出

提出された実験レポートについては,討論に代えて,極めて丁寧なコメントを加えそれをフィードバックして再提出させる仕組みを取り入れた。

追加課題による学習の深化

実験テーマに関連した追加課題を課し,知識の伝授に重点がおかれぎみの従来スタイルから,学生自らが課題を解決すべく知識を出し,まとまった結論を導き出す問題発見解決型の学習活動を誘発する工夫を取り入れた.極めて丁寧なコメントを加えそれをフィードバックして再提出させる仕組みを取り入れた。

ICTによる臨場感のある学びの実現

動画コンテンツによる丁寧な実験の説明.飽きさせない工夫.
Moodleを効果的に用いたレポートや課題に対するフィードバック.
オンライン(Zoomミーティング)による質問への対応.

学生実験は、学生が自ら五感を通して、試行錯誤しながら粘り強く追及する姿勢を養い、様々な意見を交流させ、確かな知識の構築を目指す授業です。実際に装置を触り自分の手で行い、その場で意見を交流させ考えを深めることに勝る方法は無いと考えています。ここで紹介した内容は、学生の不利益が最小限となるように創意工夫した取り組みについてですが、以下のメリットが挙げられます。

  • データ処理法に関する説明は、共通のデータを用いることで負担が軽減される。
  • レポートのやり取りをWeb上で行うことで、提出や採点の時間的な自由度が増す。
  • 実験動画は、何度も繰り返し視聴することが可能で、予習復習としても活用できる。

今後も講義コンテンツを蓄積することで、学生にとっては、自由な時間と場所でのマイペースな学習が可能になり、従来型教育の補完と高度化につながるのではないかと期待しています。

島根大学でつながる学び